勤務実績や能力を「ものさし」をもってキッチリと評価することが「雇止め法理」で注意しておくことです。 [労務管理]

労働契約法が改正され、今年の8月10日より「雇止め法理」が法定化されました。

「雇止め法理」というものは裁判の判決上すでにルール化されており、目新しいものではありませんが、要するに有期労働契約とはいえ、何度も契約更新を繰り返し相当年数が経過しているとか、自動契約更新しているなど事実上無期労働契約と同じ状況にある場合に、その労働者を期限が来たからと言って雇止めをするのであれば、通常の正社員の解雇と同様に「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないとき」はその雇止めは無効となるというものです。

まとめますと「有期契約労働者といって安易に雇止めをすると無効になる可能性がとても高くなる」ということです。

したがって、「無効」とされないためにも「客観的に合理的な理由を有し、社会通念上相当である」とされなければなりません。

とりわけ「仕事ができない」「ミスが多い」という類のものを「雇止め」までに至る判断の経緯を客観的にかつ合理的に理由をもって証明できなければなりません。

ちょっと難しい言い方でしたね。

つまり、「わが社のパート労働者の製品検品個数は1時間当たり200個が平均だが、A労働者は100個で最低の水準。入社以降6度指導をし、その都度訓練を施したが最高でも150個しか処理できず、最近は100個に戻っている。」といった数値的なものを会社側の雇用継続への努力も含めて表現できるかになります。

これまでの職場の責任者による「仕事が他のパートより遅い」といった抽象的な理由だけでは「雇止め」を覆される可能性が高くなるということです。


能力を図る尺度を定め、その尺度をもって能力の評価を測定し、その結果に基づき教育指導を行い(指導結果も記録)、能力が向上したか否かを資料などの物質的なもので記録することです。

「そんなことはわが社のような規模の小さな会社ではできない」というお気持ちは理解できますが、通用しない世の中になっていることは認識してください。

小さな規模の事業所でもできることはあります。紛争対策上、最低限の事項を押さえておくことは可能です。

どうかおひとりで悩まず、専門家にご相談ください。きっといい解決策が見つかりますよ。
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「事業場外のみなし労働時間制」ですが、営業社員全員に携帯電話を持たせ、適宜状況報告をさせていると適用されない可能性があります。 [労務管理]

申し訳ございません。ブログの更新が1週間できずじまいでした。

連休明けということと、法改正に関する問い合わせ等への対応が集中したため業務が重なりブログに手が回らなくなっておりました。

さて本題。

事業場において営業職の方に「事業場外のみなし労働時間制」を採用されているところが多いと思います。

注意喚起ではありませんが、踏まえておいていただきたいことがありますので下記にまとめました。

①労働基準法第38条の2において、前提条件を「労働者が事業場外で労働し、労働時間の算定が困難な場合」としています。
つまり、「使用者の具体的な指揮監督が及ばず、労働時間が算定し難いとき」に限られ、通達(昭和63.1.1  基発第1号)において、次の場合は適用されないとしています。
 ・何人かのグループで事業場外労働に従事する場合で、そのメンバーの中に労働時間の管理をする者がいる場合
 ・事業場外で業務に従事するが、無線やポケットベル等によって随時使用者の指示を受けながら労働している場合
 ・事業場において、訪問先、帰社時刻等当日の業務の具体的指示を受けたのち、事業場外で指示どおりに業務に従事し、その後事業場にもどる場合


②裁判例(光和商事事件:大阪地裁 平成14.7.19)においても、営業活動に出る前に上司に訪問予定を記載したものを提出し、会社所有の携帯電話を全員に渡して、都度訪問状況の報告をさせている場合はみなし労働時間制は適用されないとしています。


どうでしょうか?上記のような体制で営業社員を管理している会社は多いのではないでしょうか。となれば、時間外労働手当の紛争が労働者と生じた場合は会社側に不利に判断されるかもしれません。

もちろん、会社の営業社員の管理スタイルによって適用されるされないはあるかもしれませんが、少なくとも上記のような条件に留意しておく必要がありますね。


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