「そのうち」ではない「雇用流動化」する社会 [品川トピックス]

「バブル崩壊後、企業での『終身雇用』がなくなり、『雇用の流動化』が進むといわれ続けていますが、実際にはそれほど進展していないじゃあないですか。」そんなご意見をいただきます。

先日も、とある新聞で「流動化が進むためにも、企業が横断的にその人の価値を判断できる基準が必要であるが、日本においてはその基準が確立されていないため、流動化は思っている以上に進展しないのではないか」という論が掲載されていました。

確かにその通りと思いますが、一方で必要な「基準」というものは、社会的な要請があれば環境によって、あっという間に作られていくということです。
欧米においても以前は「終身雇用」をベースに雇用されていましたが、社会的な必要に迫られて70年代に急速に「雇用の流動化」が進展してきました。

このコラムで何度も申し上げていますが、今回の「コロナ禍」は日本の社会構造を根本的に変えてしまうような大転換期になると思います。

有名で、伝統のある企業がこの数年で「消滅」するという、これまで想像もしないようなことが起こりえるということです。そうなれば当然、そこで雇用されていた優秀な人材が労働市場にあふれだすことになります。

生き残った企業(優秀な会社ということです)は人手不足に陥っているはずですから、労働市場にあふれ出た人材を吸収しなければなりません。そのときに受け入れ態勢ができていなければ、優秀な人材に「そっぽ」を向かれることになり、環境をいち早く整備した他のライバル会社に持っていかれてしまい、せっかくのチャンスを失いことになるのです。

「社会の体制が整っていないから『雇用の流動化』は気にしなくていい。」と言っていると、あっという間に取り残されることになりかねません。

最近、よく使われる「新常態(ニューノーマル)」は、想像もつかない社会環境が生まれることを意味しています。

この流れに乗り遅れることなく、変化に対応していく心構えはできていますか。
nice!(0)  コメント(0) 

「変われるか。変われないか。」は「生き残るか。生き残れないか。」と同じです。 [品川トピックス]

先日「緊急事態宣言」が39都道府県で解除され、「コロナ禍」というトンネルの先にようやく出口の光が見えてきました。もちろん「第2波」「第3波」が想定され油断禁物ではありますが、「コロナ後」をどうしていくのかが大きなテーマとなっています。

「品川さん、コロナショックで大打撃を受けて、元の状態に戻るのは2、3年かかりそうです。それまで、経営努力で乗り切るので、引き続きご支援ください。」とうれしいお言葉をいただくことがあり、私も何とか協力していこうと思っています。

ところで、よくTVニュースにも流れていますが「元の状態に戻る」ことは本当にあるのでしょうか。私自身、感じるのは「コロナショック」は大きな変化だということです。「リーマンショックどころではない、世界大恐慌レベルだ」ともいわれますが、それどころではないように思います。
例えれば「明治維新」「第2次世界大戦」クラスの大変革だと思うのです。

この二つの事件の後、日本は政治システムや生活、文化、教育等が大きく変わってしまいました。もちろん、働き方もこの時から大きく変わっています。この二つの事件の間隔が75年ほどであれば、ちょうど戦後75年を迎える今年は来るべくしてやってきた、変革の時季と言えるかもしれません。

つまり、先ほどの「元の状態に戻る」ということは期待できないということです。「元の状態に戻る」のをじっと待っていても、意味がないということです。ではどうするか。それは「変わる」しかないということです。「明治維新」「第2次世界大戦」の後、新しい企業や産業が現れたように、今まで思ってもみなかった産業やサービスを生み出す企業が出てくるに違いありません。既存の企業も「変わる」ことが求められるということです。今回の「コロナショック」はそれくらいの事態を世の中に発生させているということを、しっかり認識しておく必要があります。

例えば、私の専門である「労務」であれば、今は「テレワーク」が当たり前のように行われます。今までも当然、一部の企業で行われていましたが「同じ職場でないと意思疎通ができない。」「打合せも相手が目の前にいないとやりにくい。」等から、進展していませんでしたが、「コロナショック」を契機に「テレワーク」の実施が余儀なくされたことから、「なんだ意外とテレワークでも問題なく仕事ができるじゃん。」ということに気づきました。

そして、「コロナショック」を契機に「オフィスは最小限で大丈夫。」「田舎暮らしでも仕事はできる。」など、今後の労働環境や働き方に対する新たな考え方が生まれました。企業としては、こういった動きに対応することができなければ、労働者から「魅力のある職場」「働きやすい」職場とは見られなくなります。

「待つ」のではなく、「変わる」ことが求められるのが、今回の「コロナ後」ではないでしょうか。「変われた企業だけが生き残れる」シビアな世界が待っています。経営者として、覚悟は決めていますか。
nice!(0)  コメント(0) 

労働者にとって「リカレント教育」が不可欠になる時代です。 [品川トピックス]

私が社会人になった33年前、「企業のサイクルは30年」と言われていました。大学を卒業して、ひとつの会社に採用されると、定年(当時は57歳でしたが)までは終身で雇用していただけたわけです。

定年後は、退職金と60歳からの老齢年金で寿命(男性で80歳くらい)が来るまでの20年ほどを、悠々自適のシニアライフを楽しむというのが、夢でもなんでもない時代だったのです。

今はどうなっているかと言えば、残念ながら「企業のサイクル」は近年、どんどん短くなっています。20年前に創業した会社が10年前にピークを迎えて、今、他の新興企業に買収されて消滅するということが起こっているわけです。10年前、15年前に一世を風靡した業種が現在では衰退しているといったことが現状ではないでしょうか。

一方で、人間の寿命はどんどん伸びて「人生100年」という言葉が当たり前のように使われています。健康年齢も伸びており、「70歳まで働ける」という人が多いのではないでしょうか。

企業の方も、「人手不足」を背景に雇用の延長に取り組むようになっています。早晩、「65歳定年、希望者には70歳まで継続雇用を」という国の政策が示されるのではないでしょうか。

とはいえ、ひとつの会社で学校卒業後入社して、70歳まで働くと50年ほどになります。先ほど申し上げたように、産業の浮き沈みが激しいので、すべての人が同じ会社で50年も働くというのはどうも困難のようです。

企業の栄枯盛衰を20年から25年と考えると、45歳までには少なくとも1回は転職を経験せざるを得なくなるということです。もちろん、転職までにお世話になった会社で培ったスキルや経験が転職先で生かされればよいのですが、これだけ社会や産業の変化が激しい今、「前の会社では○○の仕事をしていました。」が、新興企業で求めるスキルにマッチするかは甚だ疑問です。残念ながら・・・。

そこで必要になるのが、「再教育」ということになります。

「誰がするのか」とよく尋ねられるのですが、当然のことですが労働者自身です。「会社にしてもらおう」という考えは、どうぞおやめください。自分のことですよ。
今世の中がどのように動いて、どういうスキルや技能、資格が必要かを見極め、その為に必要な教育を受けて、到来する次の社会に生き残っていくということが求められるのです。

では、会社はどうするのか。もちろん、会社も生き残るために変化していくことが必要ですが、「再教育」に取り組む労働者を支援することが求められます。
すなわち、「再教育」のための時間が確保できるように、職場の環境を整備するといったことです。
理由は2つ。一つ目は「自分の会社が雇用を確保できなくなっても、労働者がスムーズに転職できるために。」そして「会社が生き残りの業態変更ができるときに、労働者に新しいスキルを発揮してもらうために。」です。

新しい世の中に積極的にかかわっていくこと、これが大切ではないでしょうか。

nice!(0)  コメント(0) 

「コロナ禍」の後は人手不足はなくなるのか。 [品川トピックス]

「『コロナショック』により、大恐慌以上の不況期が訪れ、失業率が上昇し失業者が増える。」といったことが言われています。そして、その先には人手不足ではなく「人あまり」「派遣切り」が再来するという予測です。

「品川さん、今後は人員調整の時代になり、解雇トラブルが増加するのでしょうか。その時に注意すべきことは。」といったご相談もぼちぼちいただくようになりました。(あってはならないことですが)

一時的には、こういった事態に至るかもしれませんが、「人員調整」ができる会社はまだマシかもしれません。むしろ、この数年は「倒産」「事業清算」「事業譲渡」といったことが頻繁に行われるのではないでしょうか。

「非常事態宣言」の影響をもろに受けた産業の内、事業基盤がぜい弱な企業は生き残った巨大資本(外資も含めます)に吸収され、小さな会社や個人事業は消えてしまうのではないでしょうか。
これは、ある有名な外国出身の日本企業の経営者の方が予測していた(というか、そうあるべき)世の中になりつつあるということです。
その方はこのような状態は、労働者にとって雇用条件を向上させることになり、むしろ喜ぶべきことだとも言っていました。

この方の予測の正否は別として、「コロナ禍」後はこれまで経験したことがない事業の再編が行われるということです。
特に中国他、海外に依存していた生産拠点、サプライチェーンの日本国内への回帰が進むことが予測されます。

となれば、少子高齢社会により労働力人口が減少傾向にある日本においては、「人手不足」が解消されることは考えられないと思います。

スタートアップや外資系が魅力のある労働条件を提示し、生き残った企業から労働者を奪っていき、「人手不足」はますます深刻になっていくことは当然、予測しておく必要があります。

では、どうすればいいのか。恐らく賃金では対抗できないでしょう。職場の魅力は賃金だけではありません。
ありきたりかもしれませんが「働きがい」「やりがい」「生きがい」の感じる職場を、今こそ大切に考えるしかありません。
nice!(0)  コメント(0) 

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。