大きな会社における人事労務に対する経営者の「立ち位置」って何でしょうか。 [品川トピックス]

企業規模が従業員50人くらいまでであれば、1人が経営者に対してネガティブな考えを持つと他の従業員すべてに悪影響を及ぼします。つまり、染まりやすく、染まるのも早いのですが、こういうネガティブな従業員の動きは小さな規模だからこそ、経営者も一人一人の考えや育ってきた環境を熟知していることから、感知しやすく対応も的確に、スピーディーに行え、従業員全員に波及する前に解決することが可能です。

一方、企業の規模が大きくなるとネガティブな考え方を持つ従業員がいても、全従業員に悪影響が波及することはなく、すぐには会社の経営に支障をきたすことはありません。しかし、だからこそ、問題を「放置」してしまうことになり、長い期間を経て水面下で会社組織から活力を奪うことになります。

大きな会社では、人材の採用や労務管理を全面的に人事部などに任せざるを得ないため、経営者の従業員の動向への「感知力」はどうしても弱くなってしまい、問題が顕在化し大きくなってから気が付くといったことがよくあります。

「ではどうすればよいのか」ということですが、一番大切なことは「人事労務を疎かにしない。」ということです。(もちろん、疎かにしてはいないと思いますが。)経営は「ヒト、モノ、カネ」という経営資源を有機的に運営し利益を創出することですが、「ヒト」も「モノ」「カネ」と同レベルの位置づけで考えるということです。

優れた経営者は「ヒト」「モノ」「カネ」のバランスが良い経営のほうが、バランスの悪い経営より多くの成果を生み出すことを知っています。

「ヒト」を疎かにしている経営者は、一人もいないと思いますが、大変申し訳ないですが、「モノ」「カネ」と比べると位置づけを低くして認識している方が多いように思います。(コンサルティングをしていると実感することが多く、これは本当に残念なことです。)

「我社は従業員が1万人以上いるので、社長が従業員一人一人の動向を感知するのは不可能だ。」との声が聞こえてきそうですが、従業員の悩みや思い、疑問を経営者が直接、聞き取る方法はいくらでもあります。

「大きいから無理」ではなく、「どうすればできるか」を考えましょう。

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10年後の人事労務体制を視野に戦略を組立てていますか。 [品川トピックス]

「『コロナ後』の人事労務体制を見据えた上で」というわけではありません。

商品の開発、販売サービスの企画や会社の財務体質の健全化など、いわゆる「モノ」や「カネ」といった経営資源の長期戦略を立てることはイメージできますが、「ヒト」に対してはいかがでしょうか。

「モノ」と「カネ」の戦略を組立てると、当然それを進めていく人材(「ヒト」)についても戦略が必要になってきます。
すなわち、「ウチはこの方面の商品の開発が遅れているので、○○部門に精通した人材を外部研修などで育成しよう。(あるいは「精通した人材の採用を強化しよう。」)」というものです。
方向性が決まれば、「研修を行うにはどのような機関にお願いすべきか。予算や研修期間はどの程度か」「精通した人材に応募してもらうためには、どういう条件を提示すべきか。他社の条件はどうなっているか」と、さらに掘り下げて検討することになります。

さて、ここまでは組み立てられている企業は多いと思いまが、実は「モノ」と「カネ」と同様に難しいのは、ここから先なのです。
特に最近は「技術の向上」や「社会環境」など社会情勢の変化は我々の想像をはるかに超えたスピードで進んでいます。
「ヒト」に関して言えば、「働く人の意識の変化」を読み切らなければ戦略を組立てることは到底難しくなってきます。
残念ながら経営者や人事労務責任者の中には、いまだに「星一徹が星飛雄馬を育てる。」ような感覚で人材育成を考えている方が結構いらっしゃいます。

以上は極端な例えかもしれませんが、明らかに働く人の「労働観」が変わっているのに、古い(20年程度)感覚で労働者と対峙してしまい、雇用場面での「ミスマッチ」を起こしているのです。
これまでに何度もお話ししておりますが、「終身雇用」が事実上崩壊している昨今、労働者は「ミスマッチ」の職場に長く留まることは決してありません。

迎合する必要はありませんが、イマドキの労働者の「労働観」をしっかり認識することが経営者、そして人事担当者には不可欠です。(古い認識を改めることができないのであれば、人事労務責任者を変えるべきですし、経営者自身も他の方にその職を譲るべきです。それほど重要なことです。)

そして、この「労働観」はどんどん変化していきます。戦略上、「その部門で必要な人材が育たない。(集まらない。)」ということが起こらないためにも、変わりゆく「労働観」を予見しながら10年後の人事労務体制を構築できる戦略を立てる必要があるのです。

大丈夫です。難しく考えず、今から考えていきましょう。
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人事評価が必要なくなる時代が来る? [品川トピックス]

「考課者(上司)は、私のどの接客応対をもって『親切・丁寧に行なえている。』と判断するのか。また、その基準は何か。」
仕事柄、クライアント企業の人事評価制度の構築を受注し、制度設計完了後に従業員に対して、その説明を行うとこのような質問を受けることがあります。

「接客応対」に限らず、評価を行う上で様々な「考課項目」があり、考課者は被考課者(部下)の業務上のエピソードを見て、その「考課項目」において優秀な他の被考課者の内容や、これまでの考課者の経験、知識を基準として評価レベルを判断します。
考課される側から見れば、自分の評価が低ければ「どの行動を見て、このレベルと判断したんだろうか。もっと評価してくれてもいいはずだ。あの上司は、ほとんど私の業務を見ていないはずなのに、こんな評価は不当だ。」と不満をもってしまうことは確かにありがちなのですが。

こういった評価に対する不満をできるだけ解消するために、人事評価制度を設計する上で重要になってくるのが「評価の納得性」と言われるものです。
「評価の納得性」を向上するために行っているのが、考課者と被考課者との期初、期中、期末の面談実施の徹底や、考課者訓練などになります。しかし、これも「納得を得る」という点では正直、限界を感じます。

そもそも日本の企業の多くは「職能給」を中心とした賃金制度を用いています。「終身雇用」「年功序列」の日本独特の雇用制度においては、「職能給(職務の結果ではなく、この仕事を遂行する能力があるという期待としての給与)」を選択することで、若い世代は職務の貢献度に直接給与連動せず支給額を低く抑え、職務の貢献度に関係なく勤続年数を重ねるごとに給与が増えていく仕組みにすることで、労働者の会社に対する忠誠心や他社へ流出しないようにしているわけです。
従って、「職務を遂行する能力」を量るために、「職能給」の企業では人事評価制度が不可欠になります。

一方、欧米では「雇用の流動化」が進んでいるため、給与は「職務給」が中心となります。「職務給」の場合は、例えば「半期で1億円の売り上げを上げる職務に対して月額100万円の給与」で雇用され、半期の結果が問われるだけになります。結果(職務を達成)を残せば次の雇用契約につながりますが、残せない場合は「クビ」です。
アメリカの映画やドラマに出てくる職場の場面を見ていると、上司に呼ばれて「悪いが今日中にデスクの荷物を片付けておいてくれ。」「明日から来なくていいよ。」ということが良くありますが、こういう事情によるものです。(欧米の場合は「パッケージ」というシステムがあって、解雇する場合は企業が1年位の賃金を保証することがあります。こういう制度もあって解雇でもめることが少ないようです。)

すなわち、「職務給」の場合は結果責任が問われるだけで、日本のような人事評価制度は基本的にはありません。「その仕事ができない人はいらない。」ので評価は必要ないということです。もちろん、「この職務はこういう工夫が必要では。」とは「もう少し、このスキルを身に着けてくれ。」という要望や指導・助言はあるかもしれませんが、いつまでも改善されない場合は厳しい結果が待っていることになります。

さて、今後日本では「雇用の流動化」が進展していきます。いきなり欧米のようなレベルになることは考えられませんが、「職務給」を選択する企業は増えてくると思います。裏返して言えば人事評価制度を持たない企業が増えるということです。「評価」以前の問題として雇用契約が終了するという事態に直面するわけですから、他人に評価されるのではなく、自身で自分を評価し、能力やスキルを自分で高めていくことが問われるということです。
そういう時代に向けて、もう準備を始めなくてはいけませんね。

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人事異動は「期待」「育成」そして「信頼」につながってこそ意味があります。 [品川トピックス]

喜んでもらえる人事異動はまだしも、本人の意に沿わない人事異動は注意が必要です。

「なぜ私が?」「その部署には行きたくありません。」などハッキリとした意思表示をしてくれれば、対応のしようがありますが、何の反応もなく異動先で期待した能力を発揮してもらえない、あるいは数カ月すると退職の申出があると、すでに「手遅れ」ということに。

そういう意味で人事異動は、従業員の気持ちになって準備する必要があります。異動の意図を充分に説明し理解させる必要があります。「きっと理解してくれるだろう。」「喜んで赴任してくれるはず。」という思い込みはすべきでありません。とりわけ昇進昇格に関しては「本人が受け入れるはず」と思いがちですが、本人には突如とした発令は「重圧」になり、却って逆効果になりかねません。

「今までの職務の流れと異なる職務に就かせる。」「転勤などこれまでの職場が変わってしまう。」「昇進昇格により責任が重くなる。」といった大きな異動については、事前に本人と話し合い異動の目的や会社の期待レベルといったことを伝え、受諾できるかを確認すべきです。

「人事異動なんだから従業員は従うべき。」という考え方は確かにその通りですが、人事異動が企業にとって期待した効果を発揮させるためには、従業員の立場に立って取り組むことは非常に重要です。理解、納得してもらい「自分は会社から期待されている。」と思って異動赴任してもらえば、そうでない場合より数倍の成果を発揮できるはずです。

もちろん、従業員にとって願ってもない人事異動であっても育児や介護など本人の生活事情によって、不本意ながら受け入れられない場合もあります。このときこそ、会社は十分、その事情を踏まえて解決できる場合は対応策を考え、解決できない場合は思い切って本人の事情を汲み取って、今回の異動を見送ることも大切です。その事によって、従業員との信頼関係が醸成できれば、違った意味で大きなプラスとなるからです。

「きっと喜ぶはず」「人事異動を受け入れて当然だ」という思い込みだけはくれぐれもご注意ください。
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将来の幹部候補社員が「辞める」選択をした時にどうしますか? [品川トピックス]

「入社5年目のわが社の有望株が、きのう突然退職を申し出てきたのだが、引き留める方法はないかね。」これもよくいただく相談です。特にこの10年くらいは増えてきています。

多くの時間と労力をかけて育てて、「さあこれから」というときになって、今さら辞めるといわれて愕然とするのは当然ですし、会社にとって大きな損失です。「どうしてくれるんだよ」とぼやきも出てきます。

しかし、一旦「辞める」と決めた人を引き留めるのは、相当「至難の業」です。「賃金を上げる」といった労働条件を引き上げる条件を提示する方法もありますが、他の労働者の手前、限界がありますし、「ニンジン」をぶら下げても、興味を示さないのが実態です。要するに「ムリ」なんです。

最近の若い労働者のほとんどは、一つの会社に終身で雇用されることを考えていません。前向きな人(別の言い方をすれば「優秀な人」)ほど、色んな会社を経験して「自身の技能、スキルを向上させたい」と思い、転職を繰り返すわけです。

戦国時代の武将ではないですが、「主君を7度変えて、初めて一人前」を実践しようとする人が増えているのです。逆に言えば「たくましい」と。

そんな志をもった人に、「何故?」と悩むより、「そんなもんだ」と考え方を切り替えた方が良いのではないでしょうか。「薄情な奴」「どれだけ費用が掛かったとも思っているんだ、金返せ。」とネガティブに考えるより、「終身雇用」がなくなって「雇用が流動化」するとは、こういうことなんだと理解する方が余程、会社にとってプラスと思います。

「5年から10年のスパンで、人が入れ替わり会社が機能し、発展していく。」そんな仕組みを考える時季に来ているのだと思います。

去り行く人には「次のところで、この会社での経験を活かして、活躍してくれ」と送り出し、その人が「いい会社でいい経験をした。縁があったらまた、この会社で働きたいな。」と思わせる方が、双方にとってよろしくないでしょうか。
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