出社後まもなくデスクワーク中に気を失って倒れ、病院に運ばれたが亡くなった従業員は労災になるのか。 [労務管理]
亡くなられた方にはお気の毒ではありますが「くも膜下出血」などは手の施しようがない場合があります。一方、会社としては、職場で発生した不幸なので「ドッキリ」する話です。
「ドッキリ」とは労災死亡事故になるのか否か、会社に責任が問われるのではという意味ですが、労災ということであれば「業務遂行性」と「業務起因性」の両方があったかが判断材料になります。
つまり、簡単にいうと「業務遂行性(仕事中か)」であれば、仕事中なのでこれは該当するでしょうが、「業務起因性(仕事が原因か)」というと病気を発症した原因が重要になります。
倒れるまでに長時間労働(直前1か月に100時間の残業など)の実績があれば起因性が問われるでしょうが、残業もほとんどなく、ストレスが必要以上に掛かるような仕事内容でなければ起因性は疑問視されるでしょう。
何の前触れもなく今回のように突然倒れた場合は「労災」となる可能性は低くなります。
とはいえ、後から職場からいろいろな事実が判明して会社の責任が問われることがしばしばありますので、安易に判断せず、まずは従業員の方の勤務状況をよく調査しておくことが大切です。
そして、遺族の方の心のケアです。遺族の方も心が不安定な時期に周りの悪意のもった方からよからぬ入れ知恵があると会社に不信を掻き立てることがあります。不信を払しょくすることで時間を取られるより、不信が起こらないように遺族と心を通わせることに時間をかける方がよほど生産的です。
まずは、あわてず騒がず従業員の家族に配慮した対応を図ってください。
「ドッキリ」とは労災死亡事故になるのか否か、会社に責任が問われるのではという意味ですが、労災ということであれば「業務遂行性」と「業務起因性」の両方があったかが判断材料になります。
つまり、簡単にいうと「業務遂行性(仕事中か)」であれば、仕事中なのでこれは該当するでしょうが、「業務起因性(仕事が原因か)」というと病気を発症した原因が重要になります。
倒れるまでに長時間労働(直前1か月に100時間の残業など)の実績があれば起因性が問われるでしょうが、残業もほとんどなく、ストレスが必要以上に掛かるような仕事内容でなければ起因性は疑問視されるでしょう。
何の前触れもなく今回のように突然倒れた場合は「労災」となる可能性は低くなります。
とはいえ、後から職場からいろいろな事実が判明して会社の責任が問われることがしばしばありますので、安易に判断せず、まずは従業員の方の勤務状況をよく調査しておくことが大切です。
そして、遺族の方の心のケアです。遺族の方も心が不安定な時期に周りの悪意のもった方からよからぬ入れ知恵があると会社に不信を掻き立てることがあります。不信を払しょくすることで時間を取られるより、不信が起こらないように遺族と心を通わせることに時間をかける方がよほど生産的です。
まずは、あわてず騒がず従業員の家族に配慮した対応を図ってください。
単身赴任の従業員からの申し出で賃金を別居中の奥さん名義の口座に振り込むのは労働基準法違反になります。 [労務管理]
この事例の本質は悪意があるものではありません。30万円の手取り賃金の振込先を単身赴任の従業員名義の口座に10万円、別居中の奥さんの口座に20万円を振り込むのは単身赴任の従業員家族の利便性を考慮したもので、申請した従業員も不正なことをしようとしたものではないのは明らかです。
しかし、「奥さん名義の口座」に振り込むという行為が労働基準法に抵触するので、「ダメ」ということになります。
労働基準法第24条には「賃金の支払い」について5つの原則を設けており、使用者は賃金を①通貨で②全額を③毎月1回以上④一定期日に⑤直接労働者に、支払わなければなりません。ただ、通貨での支払いは効率面で労働者の利便性が損なわれる可能性があることから、次の条件を満たした場合は金融機関に振り込んでもよいとされています。
①労働者の同意を得ること
②労働者の指定する本人名義の預貯金口座に振り込まれること
③賃金の全額が所定の支払日に払い出し得ること
いかがですか?今回のケースは②に抵触することになりますので「ダメ」なのです。したがって、従業員名義の口座をもう一つ作ってもらい、そこに20万円を振り込み奥さんがカードなどで引き出すのはOKということになります。
ここで余談です。
入社間もない従業員の親戚(たとえば叔父さん)が会社に現れ、「甥は給料をもらったらもらっただけ使ってしまう。これでは本人が将来結婚するときに困るので本人から頼まれて給料の内5万円を叔父の私に支払って欲しい。本人からはちゃんと委任状ももらっている。私は何も怪しいものではない。本人との続き柄を示した戸籍謄本もある。法的に問題がないので来月からこの口座に振り込んでくれ。」という申し出ですが、これも違反ですから必ず明確に拒否をしてください。以前、このようなことがあり「叔父」さんが憤慨して労働基準監督署に相談に行きましたが門前払いをされています。
参考に通達(昭和63年3月14日 基発150号)をご確認ください。なお、「但し書き」で「使者に対して賃金を支払うことは差し支えない」としていますが、この「使者」というのは限定的なものなので対応を注意してください。つまり、本人から連絡があり「入院中なので賃金を取りにいけない」という場合で「娘が取りに行くので渡してほしい」という場合の「娘」が「使者」に当たりますが、銀行振り込みによる賃金支払が多い昨今では、このような「使者」は現実的ではありませんので、「どうしても」という場合は会社の方が本人に直接持参して渡す方が好ましいと思います。
賃金は生活の糧です。ですから支払いに間違いがあってはいけませんので法律が非常に保護しております。支払った後は労働者個人の問題ですが、その個人の問題に巻き込まれないためにも賃金支払い5原則を守って支払いを行ってください。
しかし、「奥さん名義の口座」に振り込むという行為が労働基準法に抵触するので、「ダメ」ということになります。
労働基準法第24条には「賃金の支払い」について5つの原則を設けており、使用者は賃金を①通貨で②全額を③毎月1回以上④一定期日に⑤直接労働者に、支払わなければなりません。ただ、通貨での支払いは効率面で労働者の利便性が損なわれる可能性があることから、次の条件を満たした場合は金融機関に振り込んでもよいとされています。
①労働者の同意を得ること
②労働者の指定する本人名義の預貯金口座に振り込まれること
③賃金の全額が所定の支払日に払い出し得ること
いかがですか?今回のケースは②に抵触することになりますので「ダメ」なのです。したがって、従業員名義の口座をもう一つ作ってもらい、そこに20万円を振り込み奥さんがカードなどで引き出すのはOKということになります。
ここで余談です。
入社間もない従業員の親戚(たとえば叔父さん)が会社に現れ、「甥は給料をもらったらもらっただけ使ってしまう。これでは本人が将来結婚するときに困るので本人から頼まれて給料の内5万円を叔父の私に支払って欲しい。本人からはちゃんと委任状ももらっている。私は何も怪しいものではない。本人との続き柄を示した戸籍謄本もある。法的に問題がないので来月からこの口座に振り込んでくれ。」という申し出ですが、これも違反ですから必ず明確に拒否をしてください。以前、このようなことがあり「叔父」さんが憤慨して労働基準監督署に相談に行きましたが門前払いをされています。
参考に通達(昭和63年3月14日 基発150号)をご確認ください。なお、「但し書き」で「使者に対して賃金を支払うことは差し支えない」としていますが、この「使者」というのは限定的なものなので対応を注意してください。つまり、本人から連絡があり「入院中なので賃金を取りにいけない」という場合で「娘が取りに行くので渡してほしい」という場合の「娘」が「使者」に当たりますが、銀行振り込みによる賃金支払が多い昨今では、このような「使者」は現実的ではありませんので、「どうしても」という場合は会社の方が本人に直接持参して渡す方が好ましいと思います。
賃金は生活の糧です。ですから支払いに間違いがあってはいけませんので法律が非常に保護しております。支払った後は労働者個人の問題ですが、その個人の問題に巻き込まれないためにも賃金支払い5原則を守って支払いを行ってください。