「退職金と賞与が支給されない会社は労働基準法違反だ」と苦情を寄せる労働者の方がいますが、労働基準法違反ではありません [労務管理]

もともと支給されていたものが支給されなくなったのであれば「不利益変更」などの問題が生じますが、今回の話はもう少し(というか「かなり」)レベルの低い問題。

会社の制度として従来から「退職金」や「賞与」の支給がなく、「労働契約書」「就業規則」にも「支給しない」と明記しているのに、労働者が世間一般的に「退職金」や「賞与」支給の制度があって当然と考え違いをして苦情を寄せるという場合です。

中小企業などでは企業体力から「退職金」「賞与」を支給していないケースがほとんどです。労働基準法でも支給を義務付けておりませんから、制度としてなくても何ら問題はありません。

後付けで労働組合などが「退職金」「賞与」の支給を要求してきますが、企業体力的に支給できないのであれば拒否しても差し支えありません。逆に一旦支給してしまうと制度として確立したものとみなされる可能性がありますから、後で「やっぱり企業体力的に支給できないから廃止」という訳に簡単には行かなくなりますので慎重に対応してください。

労働者の方の一部には未だに「退職金や賞与がもらえるもの」という幻想を持った人がいますが、残念ながらそれは古き良き時代の話。そういった苦情があった場合は事業所は混乱せず、毅然とした態度で対応してください。「将来的には退職金や賞与が支給できるようにしたい」といった期待を持たせるような言葉は厳禁です。「うちの会社はでないよ。欲しいなら退職金や賞与が出る会社に雇ってもらったら?」くらいのことは言ってあげてください。

「できることはできる。できないことはできない。」を毅然として答えること、これが労務管理の要諦です。

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:仕事

身元保証人に労働者が生じさせた損害を賠償させるにも限界があります。意外と賠償の範囲は狭く、現実的ではありません。 [労務管理]

「身元」を保証するのが身元保証人ですが、「身元」ってなんだか前近代的な言葉ですよね。

とはいえ、多くの事業所で採用の際に労働者に身元保証人を立てています。

ただし、お付き合いさせていただいている事業所様には、身元保証人には労働者が生じさせた損害の賠償を求めても限界があることを説明しています。

一つは保証期間です。身元保証法では「期間を定めなかったときは3年、期間を定めたときは5年が最長となり、自動更新は無効」になります。ほとんどの場合が、「期間を定めない」ケースですから3年経ってから労働者が会社に損害を生じさせても、保証人には賠償する義務がなくなります。

また、軽微な過失により労働者が会社に損害を生じさせても、判例では身元保証人に100%賠償させることはできないとするものが多いのです。

したがって、金銭的補償を目的に身元保証人を立てるのであれば、効果は期待したほどではないことを認識しておく必要があるということです。

とはいえ、事業所サイドが身元保証人をあくまで「労働者の親類縁者、知人として、社会人として未熟な労働者を事業所外において監督指導し、事業所にご迷惑をおかけする場合は、親類縁者、知人として解決に向けて協力します。」といった意味で考えられている場合(もちろん、身元保証契約においてその旨を記載する必要があります)もありますので、そのときは従来通りとされてもよいと思います。

いずれにしても、身元保証という制度に過度な期待だけはされないようにご注意ください。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:仕事

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。