「年次有給休暇が取得しやすい。」は労務管理上、「当然」用件です。 [品川トピックス]

「品川さん、ウチのような小規模の会社は人員が少なく、従業員に年次有給休暇(以下、年休)を取得されるとたちまち立ち行かなくなる。どうしたら、年休を取らさないようにできるだろうか。」という相談をいただくことがあります。
会社の労務実態を考えると心情的にはお気持ちは理解できるのですが、長期的(とはいえ、半年、1年程度ですが)には、年休が自由に申請取得できない会社は労働者にとって「魅力がない」会社として見られてしまいます。

「我社では年休は取れないけど、若い人でも責任のある大きな仕事をしてもらって『やりがい』を感じてもらえる職場だ。魅力のある会社だと思うが・・。」それはとても素晴らしいことなのですが、今後の従業員の労務戦略を考えると「年休が取得しづらい(できない)」は大きなマイナス要素になります。

最近の労働者の労働価値観では「年休が自由に取得できる」のは「当たり前」の事になっています。残念ながら「やりがい」「働きがい」はその次であり、「やりがいの感じられる職場なら、なおのこと良い」という受け止め方が実態です。
逆に言えば、「年休が自由に取得できない」会社は、彼らにとってはナンセンスであり、たちまちSNS上で「ブラック(私はこの表現は嫌いなのですが・・)」のレッテルを張られてしまいかねません。
今の労働者はSNSでのこのような評価をいち早く察知しますから、自身の就職先のリストから当然、外すことになります。「新規採用の求人募集を出しても中々、応募が来ない。他社とも見劣りがしない労働条件なのに、おかしいな。」という事態に至るのは、このようなことも原因となっています。

では、最初のお話です。すなわち、人員がタイトで従業員が自由に年休を申請すると立ち行かなくなるような状況の企業はどうすればよいかということですが、これまでのお話のとおり、これは「できるか。できないか。」の話ではなく、「年休を自由に取らせなければならない。」ということが前提のお話ということです。すなわち「無理だよね。」ではなく「どうすればできるか。」を考えなければならないということなのです。

実は、これが理解できていない経営者の方が非常に多いのです。何でもそうなのですが、「やっても無駄」と思っている人と、「どうしたらできるのか」を考えている人は全然違います。こちらが方法論を提案しても前者は「この問題とこの問題があるから不可能だ。」という答えが返ってきて上手くいかないことが多いですが、後者の場合は「この方法であれば可能だが、その為には今までの仕事のやり方を変えて○○の課題をクリアしなければならない。」と前向きな答えが返ってきます。

年休が申請しやすい環境作りは確かに難問です。しかし、逃れることのできない経営上の大きな問題です。その事に目を背けていると必ず2年後、3年後にツケが回ってきます。だからこそ経営者が「実現する」という意欲をもって取り組むことが今、求められています。

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ときに労働者に「転職」を勧めることも経営者の仕事です。 [品川トピックス]

経営者の方とお話ししていると「2年前に入社したA君は、会社の方で教育訓練を施したが職務遂行能力が向上しない。当初の職務の適性の問題かと思い、他の部署に異動をさせたが結果が出ない。とても真面目で性格も申し分ないが、どうしたものか。」というご相談を受けます。
また、「B君はとても優秀な社員で、いつも期待以上の成果を残してくれる。しかし、『賃金が発揮した成果に見合っていない。大きな会社ならもっと賃金や賞与がもらえれるはずだ。賃金や賞与をもっと上げて欲しい。』と要求するようになったが、我社の規模ではこれ以上は支払えない。どうすればいいか。」という先ほどとはある意味逆?の悩みを伺うこともあります。

超一流の企業で規模も大きいのであれば、A君が能力を発揮できる部署があるかもしれませんし、B君が求めるような賃金や賞与が提供できるかもしれません。
しかし、これらは一部の限られた会社になり、一般的な会社では対応に限界があります。

ではどうすればいいのでしょうか。私としては、「A君、B君の満足できる職場が自分の会社にはないのでは?」という視点を持つことを提案しています。
このお話をすると「A君、B君に辞めてもらうことになり、申し訳ない。」「もう少し、A君に教育訓練を施したい。「B君が求める賃金を支払える方法を考えたい。」と答える経営者が多いのも事実です。
しかし、「A君の適性にあった仕事がないまま会社にあと数年残すこと」や「B君が賃金や賞与に不満をもったまま、あと数年仕事を続けること」はいたずらに歳を重ねることになり、本人にとってマイナスにしかならないように思います。万が一両人が若い方であれば尚更ではないでしょうか。

「退職を勧奨するのは経営者として不本意だ。」というお気持ちは理解できますが、A君、B君のことを思えば、「あなたに合った会社や仕事がきっとある。」といって送り出してあげることも必要ではないでしょうか。

退職を勧めるのは経営者にとってトラブルを招きかねず、ある意味リスキーではありますが、勧められた労働者が感じる「何故?」に対して明快な答えがあれば、きっと理解してもらえるはずです。

どうか勇気をもって、取り組んでみて下さい。
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「労働者が働きやすい職場を作る。」とは、労働者におもねることではありません。 [品川トピックス]

「品川さん、あたなはよく『労働者に選ばれる会社にしなさい。』『労働者が働きやすい職場にしなさい。』と言われるが、経営者が労働者に阿る(おもねる)ことになり、結局、労働者と会社にとって良くない結果を招くのでよろしくないのではないか。」と何人かの経営者の方からご指摘を受けます。

また、「最近は『働き方改革』といって法律が労働者よりになり、会社がますます労働者より立場が弱くなっている。しかも労働者が法律に基づいて、権利ばかり主張して成果を残すといった義務を果たさなくなった。キミはそれをよしとするのか。」という疑問を投げかけられたりもします。

これは全くの誤解です。

労働者がイキイキと働き、その能力を遺憾なく発揮できる環境を整えることが「働きやすい職場」であり、その働いている人たちを見て他の人たちが「あんな会社で働きたい」と思われることが経営者にとって求められるということです。

「おもねる」というのは、会社側になんらメリットもなく「言いなり」状態になることを言うのであり、私が申し上げる「働きやすい」会社のその先には、従業員が大きな成果を生み出し会社が更に発展している姿があります。

また、最近の「働き方改革」による法改正の動きも、「労働者寄り」ではなく会社にとってもプラスになると考えてください。
労働者の健康や柔軟な働き方に配慮した法改正は、前述のとおり従業員の「働きがい」につながりますし、つなげていかなくてはなりません。
確かに昨今の労働者の「権利意識」は以前よりも大きくなっていますが、「権利と義務」は表裏一体ですから、当然、労働者により一層の義務の履行が求められます。

すなわち、労働者として会社に結果を残すことが求められるわけですから、さぼっていたりすると職務怠慢がこれまで以上に問われます。このことは経営者にとっても意識改革が求められることになります。
すなわち、教育しても成果を残さない、指導しても真面目に働かない労働者に厳しい姿勢で臨まない「甘い」経営者の対応への変革です。
実際によくこの手の労働者の対応についてご相談を受けることがあり「なぜ、まだ雇い続けるのですか。」とご指摘すると、「労務トラブルに発展させたくない。」「労働者がかわいそうだ。」といったのが理由で2の足を踏む経営者がいらっしゃるのも事実です。

こういった対応は、真面目に働き、成果を残している他の従業員からどのように映るでしょうか。おそらく「こんな緩い会社でこれ以上働きたくない。」と思われているか、「不真面目に働いても解雇されないなら、自分もそうしよう。」と思われているのではないですか。

不真面目な従業員を放置できるような環境ではなくなっています。「働き方改革」は決して労働者寄りの政策ではないのです。
不真面目な従業員には「真面目に働き、技能、知識、経験を積んで職務能力を向上しないと給料も上がらないし、職場も失うかもしれないよ」といって叱咤激励し、育成するのが経営者の務めではないでしょうか。

「世の中が労働者寄りになった」と言っている場合ではないと思います。
考え方を変えてみませんか。

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「在宅勤務」が「目的」になっていませんか。 [品川トピックス]

先日、ある新聞の記事にもありましたが、どうも論調としては「日本は欧米に比べて、在宅勤務が進んでいない。」「緊急事態宣言が解除されると、在宅勤務も取りやめるところが日本は多い。」「このままでは、世界の動きに取り残される。」といったものです。

どうも「在宅勤務の普及率が低迷していることが悪い」ことのように聞こえますし、「日本は在宅勤務に取り組みにくい職務が多く、そのためOECD加盟国の中でも生産性が低い。このままでは、ますます世界から取り残される。」といった不安を煽るような記事が、最近は特に目立っているように感じます。

こういう状況が続くと、日本人の悪い癖で「うちの会社も在宅勤務、テレワークを推進しなければならない。」と在宅勤務が「目的化」していまいます。
もちろん私は在宅勤務を否定するつもりはありませんし、必要であれば在宅勤務を促進する必要があると思っています。また、日本の「労働生産性」がすべてにおいて必ずしも劣っているとは思ってはいません。

必要なことは「なぜ、在宅勤務を導入するのか」ということをしっかりと認識するということです。この時にご注意いただきたいのは、「会社にとって通勤費の費用負担が減る。」「事務所の賃料が節約できる。」を主眼に考えないということです。確かにこちらも大切な側面ではありますが、「それありき」ではダメということです。

「通勤によるストレスから解放されて、1日の仕事の始まりを気持ちよくスタートできる。」「職場から距離多くことで、集中して考えられる。」「育児や介護をしながら、仕事を続けられてモチベーションが上がる。」など従業員の仕事のクオリティアップと、それによる企業業績の向上につなげなければ意味がないと思います。
つまり、この目的に至らないのであれば無理をして在宅勤務、テレワークを導入する必要はないと思います。

「なぜ、在宅勤務を導入するのか。」その目的を明確にしてから、取り組むようにしてください。
あくまでも在宅勤務は「手段」でしかありません。どうか冷静になって考えてください。
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