くどいようですが、「退職」と「解雇」は違いますよ。 [労務管理]

最近、解雇のお話が続いていましたので、それに関連して・・・。

事業主も労働者も「退職」と「解雇」がごじゃまぜになって理解されている方が多いですね。

例えば、「会社に退職させられた」「こちらから強くいって、従業員に退職してもらった」などです。

「退職」と「解雇」は全く違います。

「退職」は労働者から会社に対して、雇用契約の解約を申し出ることです。「解雇」は、その逆で会社から労働者に対して、雇用契約の解除を申し出るものです。

前述の例えのやり取りですが、内容にもよりますが通常は会社からの雇用契約の解除とみられる可能性が高いケースです。つまり、「解雇」ということです。

「解雇」はご存じのとおり、法律の制約がかなりあり、助成金がもらえないなど制裁もあり、会社サイドはあまり「「解雇」という言葉を使いたがりません。労働者も不名誉なことと感じて「解雇」されたとは、あまり使いタダらないようです。

しかしながら、実態が「解雇」であれば、その通りに取り扱われます。「退職」と言い張っても「解雇」は「解雇」にほかなりません。

逆にかたくなに「退職」と主張することで、話がややこしくなるといったケースは枚挙にいとまがありませんので、正々堂々と「解雇」するほうがよっぽどマシです。(トラブルに至るケースも少なくなります。)

どうしても「退職」というのであれば、労働者も会社も納得ずくでないといけません。後で労働者が「不本意ながら退職届を書くように会社が強要してきたので」などど反論してくるともう目も当てられない状況になります。

ことほど左様に人事に関する通知は慎重を期すべきでしょうね。


改正労働契約法の「雇止め法理」の法定化って? [労務管理]

法律の言葉って、本当にわかりにくいですね。「雇止め法理」?法定化? 法律用語に慣れていない一般国民には「何のことやら」っと言ったところでは?

一般の正社員は雇用契約期間を定めていません。一方、アルバイトやパートの方は6か月や1年といった期間を設定して雇用契約を結んでいる場合がほとんどです。これを「有期雇用契約」といいます。

「有期雇用契約」の場合は、期間が満了すると雇用契約を終了します。これを「雇止め」といいます。

しかしながら、実態は期間を更新しているのがほとんどです。

これまでの最高裁判所の判決において、「有期雇用契約」の更新が数度行われ、また、手続きが自動的に行われているなどして形骸化し、労働者が契約の更新が継続されていくと期待しているような状況の場合、契約期間の満了が到来したからと言って事業所が雇止めを行っても、期間の定めのない労働者を解雇するのと同様に「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないとき」は無効としています。

このような裁判例を受け、その後の裁判においても、雇止めの有効、無効を判断しています。こういった判例によって形成されたルールを「法理」といいます。

今回の法改正により、労働契約法の第19条においてこの「法理」を法律として制定(法定化)しました。

つまり、あらたに法律ができたとはいえ、すでに裁判所では適用されているものですから目新しいとは言えませんね。しかしながら、長年アルバイトとして雇っている人を契約期間が満了したからと言って、それだけの理由で雇止めをするのは裁判での争いには、非常にリスクが大きいのでご注意ください。

もちろんのことながら、法律が制定されたからと言って労働基準監督官が当該「雇止め」の理由を「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当である」か否かを判断することはできません(越権行為です)。民事上の争いになった時に不利にならないように雇止めをせざるを得なかった理由を確たる証拠をもって形成しておく必要があるということです。

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