懲戒処分の決定を行うまで自宅待機させ、その後、「出勤停止5日」と決定した場合の賃金の支払い方はどうなるのか [労務管理]

会社の物品を横領していたことが発覚し、その従業員に就業規則に則って懲戒処分をする際、決定までに事実関係を確認したいこともあり、また、証拠隠滅等の行為を起こさないとも限らないので処分決定まで自宅で待機するように命じることがあると思います。

これは懲戒処分上の「出勤停止」とは異なり、業務命令上の「自宅待機」となりますので、会社の都合による休業となり労働基準法第26条の休業手当(平均賃金の60%)を支払う必要があります。

確かに不法行為をしたのは労働者なのですが、「懲戒処分」ではありません。会社が必要性を感じて自宅待機を命じているので休業手当を支払う義務があります。

一方、懲戒処分により「出勤停止」が決定すれば、その期間の賃金は支払う必要はありません。

「自宅待機」と「出勤停止」の違いが判らず、すべて賃金を支払わない場合がありますが、くれぐれも区別して対応をしてください。

できれば「自宅待機」はあまり長くならないように2日前後にとどめましょう。
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休憩時間帯に職場で昼食、休憩中に顧客から電話があれば対応するよう命じていれば、労働時間(手待ち時間)とされる可能性があります。 [労務管理]

1週間ぶりの労務管理解説ブログです。少々、業務多忙で更新できず申し訳ございませんでした。

さて、タイトルの件。

社員食堂が無い。あるいは、地域的な事情で近くに利用しやすい食堂がなく、休憩施設も無いような事業所が沢山あります。

このような事業所で勤務されている方は、やむなく職場の机で昼食をとっているのがほとんどではないでしょうか。

そんな休憩タイムに目の前の電話が鳴る、ナンバーディスプレーにより電話番号がわかる、番号は重要顧客、となれば電話を取らざるを得ないのが実情です。

留守電に転送し、呼び鈴が鳴らないようにしておけばよいかもしれませんし、又は顧客に事前に連絡して「昼休憩は電話がつながりません」としておくのも対策の一つでしょう。

ただ、そこまで徹底していない事業所の場合、電話が鳴れば対応してしまうようですね。緊急の電話でその後すぐに対応しなければならない場合は結局、休憩は途中で終了となります。

このケースでは、電話が鳴ってから以降の時間はたとえ休憩時間中でも労働時間となります。問題は次のような場合。

「昼食は職場でとってください。ただし、電話が鳴ったら応対してください」と事業所が命じている場合は、「手待ち時間」とみなされ、休憩時間ではなく労働時間とされる可能性があります。(結果的に電話がかかってこなくても同様です。)当然、賃金の支払い義務も生じます。

では「昼食は職場でとってください。でも、電話が鳴っても応対しなくてもいいですよ。」と事業所が命じているにも関わらず、「そんな失礼なことができるか」と命令を無視して電話に対応する場合は、その対応時間の賃金を支払う義務はあるのでしょうか。

本人が請求してくれば、厳密には支払う必要があると考えられます。電話対応する必要度が低く、応対しなくてもよいと厳しく戒めているにもかかわらず、対応したとしても支払う必要があるでしょう。(もちろん、業務命令違反により制裁を行うことは可能ですが)

できれば、事業所として昼の休憩時には電話が鳴らないような環境設定をし、万が一、電話応対した場合はその日のうちに時間調整を行うという対応をすべきと思います。

休憩時間は「労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間」です。その管理にはくれぐれもご注意ください。


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