風邪をおしての出勤。咳はひどく、高熱がでているのがありあり。「本人は大丈夫」との事だが帰宅を命じると「休業手当は?」 [労務管理]

秋も終わり、風邪のシーズンとなりました。急に寒くなり体調を崩した労働者もいるのでは無いでしょうか。

昔、ある会社であった話。

従業員の方が明らかに風邪で高熱があり、コンコン咳をしながらふらふらの状態で出社してきそうです。「大丈夫です。頑張ります」というその心意気は買ってあげたいのですが、他の従業員に感染するかもしれずハッキリ言って迷惑。しかも、本人はほとんど仕事ができない状態。

「風邪がひどくなっても」と本人への気遣いもあり「今日は帰って休みなさい。」というと「それは業務命令ですか?じゃあ6割補償の休業手当は支給されるのですね。」とノタマってきたそうです。

労働基準法第26条の「休業手当」とは、「使用者の責めに帰すべき自由により」労働者を休業させた場合に支給しなければなりませんが、上記の場合は風邪を発病させた労働者本人の体調管理の問題であり、使用者(会社)に責任があるとは言えませんので「休業手当」は必要ないと考えられます。

件の労働者、「休業手当は支給しない」というと「じゃあ僕は帰りません。終業時刻まで会社で勤務します。」と居直ってきたそうですが、結局「とにかく、帰りなさい。帰って病院で治療してもらいなさい。これは業務命令です。」といって退出させたそうです。

会社には労働者の健康に配慮する義務がありますので、当然の対応と思います。労働者がそのまま、居続けて風邪を悪化させ肺炎を併発し、万が一病死した場合はそれこそ会社に責任が問われかねません。また、そこまでいかなくても他の労働者に感染させた場合はその労働者から健康配慮義務違反が問われかねません。

とにかく、このような状態の労働者は毅然とした態度で退出させることが必要です。「休業手当を支給する、しない」はその労働者が健康を回復して出社してからじっくりと話をすればよいことです。健康な状態で、思考力も回復していたらきっと理解してもらえる内容(年次有給休暇の後日申請を認めてあげるなど対応可能)です。

労働者は健康な状態で雇用契約通り、労働力を提供する義務があるわけで、ぐったりした状態で会社に滞留するようでは雇用契約を履行しているとは言えません。こういった観点からも、重い風邪の状態の労働者は退出していただきましょう。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:仕事

賃金計算期間の途中に入社、退社する労働者の賃金の日割り計算。労働日で計算するか、歴日数で計算するか決めていますか。 [労務管理]

入社や退社を賃金計算期間に連動している(末日締めの会社であれば、1日に入社、末日に退社を取り決めているということ)会社であれば、日割り計算をすることが少ないのではと思います。

しかしながら、やはり労働者の退職日を全ての人に統一するのは難しく、退職日によっては日割り計算をする必要があるのではないでしょうか。

とはいえ、就業規則(賃金規定)を見ますと「賃金計算期間中の入退社の場合は日割りで賃金を計算する」とまでは記載していますが、どういう方法で日割り計算するとまで記載しているものは少ないようです。

日割り計算は歴日数(カレンダーどおりの日数)か労働日数のどちらかを基準にして行います。

結論はどちらでもよいのですが、一度決めたらその都度基準を変えて計算することはできません。就業規則などに記載していないと給与担当者が変わったりすると前任者は「歴日数」だったのに後任者が「労働日」で計算するというちぐはぐなことが起こりがちです。

従いまして、上記のような間違いが無いように就業規則に記述しておくことをお勧めします。

さて、歴日数と労働日数、どちらが支払う会社にとって優位か。実はどちらとも言えません。

例えば次の場合、同じ7日付で退職しても今年の場合、3月と5月では計算方法の優位性は異なります。

末日締めの会社で、月給31万円の人のケース

「3月7日退社」
(歴日数計算)1日あたり:31万円 ÷ 31日(3月の歴日数)=10,000円
         10,000円 × 7日分(3月7日までの歴日数) = 70,000円
(労働日計算)1日あたり:31万円 ÷ 21日(3月の労働日数)=14,762円
         14,762円 × 5日分(3月7日までの歴日数) = 73,810円
 つまり、「労働日計算」のほうが労働者に有利になります。

「5月7日退社」
(歴日数計算)1日あたり:31万円 ÷ 31日(5月の歴日数)=10,000円
         10,000円 × 7日分(5月7日までの歴日数) = 70,000円
(労働日計算)1日あたり:31万円 ÷ 21日(5月の労働日数)=14,762円
         14,762円 × 3日分(3月7日までの歴日数) = 44,286円
 つまり、「労働日計算」では労働者が不利になります。

以上のようにケースバイケースとなることをしっかり踏まえておきましょう。

いずれにしても、「ものさしを明確にする」ということが労務管理の要諦ですので。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:仕事

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。