年次有給休暇取得時の賃金は3つの方法を選択しなければなりませんが、そのうちの「通常の賃金」に含まれる歩合手当等に誤解があるようですね。 [労務管理]

労働基準法第39条第6項において、年次有給休暇(以下、年休)を取得した日の賃金は、次の3つの内のいずれかのもので支払わなければなりません。
①通常の労働日の通常の賃金
②平均賃金
③健康保険法第3条に定める標準報酬日額(ただし、この場合は労使の書面協定がある場合に限る)

上記の内、最も使用されているのが「①通常の労働日の通常の賃金」です。

基本給や役職手当など金額が固定されているものであれば間違って計算することもありません。(いつもの賃金を全額払えばよいということ)

しかし、ここに歩合給などが含まれると間違って計算している場合が多いようです。

つまり、「年休のときは働いていないのだから、歩合給は不要だろう」と計算から省いてしまうという事態です。

これは間違いです。労働基準法施行規則第25条第1項第6号では、
「出来高払い制その他の請負制によって定められた賃金については、その賃金算定期間(当該期間に出来高払い制その他の請負制によって計算された賃金がない場合においては、当該期間前において出来高払い制その他の請負制によって計算された賃金が支払われた最後の賃金算定期間。以下同じ。)において出来高払い制その他の請負制によって計算された賃金の総額を当該賃金算定期間における総労働時間数で除した金額に、当該賃金算定期間における1日平均所定労働時間数を乗じた金額」としています。

したがって、歩合給などについても除外せずに、上記の施行規則のルールに則って計算しなければなりません。

除外したまま放置すると「賃金未払い」となり労働基準法第24条に抵触することにもなりますので、何卒ご注意ください。
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外回り中に不注意で自動車事故し、会社の営業車両を破損した場合に従業員に修理代一律5万円を弁済させる取り決めは違法か。 [労務管理]

車両保険の免責額を従業員に求める形で金額設定をして、従業員に弁済を求める会社があります。

これは労働基準法第16条の「賠償予定の禁止」に抵触するか、しないかの問題になります。

例えば、上記のように営業車両を破損させた場合に「その損害の程度に関わらず、従業員に一律で5万円を徴収する。」という取り決めをしていれば第16条に抵触することになります。

「上記のように取り決めていますが、実際には程度に応じて被害額の範囲で徴収したり、しなかったりしていますよ」と言われる事業主もいらっしゃいますが、第16条の内容はそのような「契約をしてはならない」となっていますので、「実際に徴収する、しない」かは問題ではなく、取り決めをしていれば当然抵触することになります。

「取り決め」という表現にしているのは、就業規則に記載している場合は労働基準監督署に届出した時に、修正を求めるので問題が顕在化されるため、就業規則に記載されることは考えられないからです。つまり、労働契約書上に記載したり、口頭での確認事項であったりすることが多いようです。

この「賠償予定の禁止」は賠償額を具体的に設定すると法に抵触するのであって、単に「営業車両を破損させた場合は、過失責任の割合に応じて損害額の一部もしくは全部の賠償を求めることがある」と取り決める(もしくは就業規則に定める)ことは問題ありません。

また、「〇〇万円を限度として、過失責任に応じて損害額の・・・」と上限設定として金額を明示することも、法に抵触するものではありません。

いずれにしても、法に抵触する、しないは記載内容によって微妙に変わってきますので、詳しくは社会保険労務士にご相談ください。
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