「退職金制度はないが、これまで退職した社員の中で貢献度の大きい者には退職金を支払っている」というのが一番、厄介なんです。 [労務管理]

「わが社に退職金制度はない」これは問題ありません。
「退職金制度はなく、これまで誰にも退職金を支払ったことはないし、これからも支払うことはない」これもOKです。

しかし、
「わが社には退職金制度はないが、過去退職した者の中には長い間勤務してくれ、それなりに貢献してくれた者もいたので、何もなしとはいかないので、幾ばくかのお金は渡している。そうではない者には、何も支払っていない」という会社にトラブルが発生することがあります。

同じ時期に入社し、同じく長年働き、同じ時期に退社したAさんとBさん。Aさんは明るい性格で取引先からも好かれ営業成績もよく社長のお気に入りですが、Bさんは引っ込み思案で目立たない存在。営業成績もあまりよくなく、社長からはいつも叱られてばかりでした。

社長はAさんの退職に際し、「慰労金」として50万円支給しましたが、Bさんは「なし」。Bさんは当初、会社の退職金制度がないことを知っていたのであきらめていましたが、退職後にAさんからAさんが「慰労金」を受け取ったことを知りショックを受け、社長にAさん同様に「慰労金」を支払ってほしいと要求しました。

さて、このケースBさんは「慰労金」を受け取れるか?

結論、Bさんは「慰労金」を受け取れる確率が高いと思います。(50万円はさておき)
断定的なことは言えませんが、社長はBさんに「慰労金」を支払わない根拠を明確にしなければいけないでしょう。(「俺の気持ちだ」「経営者の裁量だ」は通用しません。)

退職金制度(規定)に基づくものであれば根拠となり得ますが、それが無いのでこれまでの「慰労金」の支払い対象者の条件、金額によって根拠を設定しなければいけないでしょう。例えば「勤続10年未満は不支給」「社長表彰10回以上」「目標達成回数50回以上」という基準(まあ、この時点ですでに「退職金制度」が確立されていますが)があれば、まだしも「よう頑張ってくれた」などは根拠としては厳しいと言わざるを得ません。

となれば、Bさんに「慰労金」を支払わざるを得なくなります。

もし、退職金を支払いたい人、支払いたくない人を明確にしたいのであれば、やはり「退職金制度」を整備し支払い対象の基準を明確にしておくことをお勧めします。(退職金制度を設けないことで墓穴を掘ることが往々にあります)

いずれにしましても、上記のトラブルに巻き込まれたら社会保険労務士にご相談ください。


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些細な言動をあなたが意識していなくても、相手には「セクハラ」と受け取られている場合があります。「セクハラ」を指摘されたら「そんな意味では・・」と思わず、相手の気持ちを考えましょう。 [労務管理]

11月末から12月月初にかけて業務多寡のため、ブログをご案内もせず一時休止しておりました。誠に申し訳ございません。

今日より再開いたしますが、無理せずアップしたいと思います。


さて、本題。先日、某所で「セクハラ」の相談を受けました。

加害の男性上司には「身体への露骨な接触」や「性交渉の強要」「卑猥な言動」はなく、日ごろの些細な「その服に合っているよ」「あなたのような気の付く奥さんだと旦那さんは幸せだな」といった言葉を投げかけていたようです。

被害女性はこのようなことを言われることが生理的に好きではなかったようで、「そんなことを言うのはやめてください」と上司にはことあるごとに苦情を申し立てていたようですが、上司は深刻に受け止めず、改めることがなかったようです。

そこで被害女性は労働局の雇用均等室に問い合わせたところ、「セクハラ」にあたるとの見解をいただいたので、改善を会社に求め問題が発覚しました。

この事件、被害女性もさることながら「セクハラ」を指摘された加害男性上司にとっても大変ショックであったようです。

「そんなことで『セクハラ』になるのですか?『セクハラ』とは私にとって大変不名誉なことです。」と憤慨もしておりましたが、「本人が不快に感じ、何度も『やめて欲しい』と言っているのに改善しなければ『セクハラ』と判断される場合がありますよ」と説明すると、「相手の気持ちへの配慮が不足していました。」と反省され謝罪をして解決したいとのことでしたので大事にならず事案を完了することができました。

加害(?)男性上司としては「セクハラ」を意図したことはなく、日常のコミュニケーションのひとつとして言葉を投げかけていたのだろうと思いますが、相手が嫌がっている「サイン」を見逃していたのだろうと思います。

もちろん、業務上の必要な命令であれば嫌がろうが拒否しようが関係ありませんが、日常の会話で相手が「不快」と捉え、「やめてほしい」と意思表示をすれば、すぐに言動を改めるべきと思います。

世知辛い世の中ですが、「そんなはずでは・・・」と気が付いた時には遅いことになりかねません。何卒、ご注意を。
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