「有給休暇5日消化義務」でどうなる? [新聞解説]

昨年後半から検討が続いており、一部報道もされている「年次有給休暇5日消化義務」等の労働時間法制の見直しですが、大詰めを迎えているようです。

欧州諸国では事実上行われている企業への「年次有給休暇の消化義務」を、日本にも導入しようとするものですが、正直個人的には理解が進んでいません。[失恋]

年次有給休暇は労働者側に与えられた「権利」です。自分が希望する労働日を指定して、その日の「労働を免除してもらう」日です。この労働日を指定する権利はかなり強くて、「正常な事業の運営を妨げる」場合を除いて、事業所側は指定した日に有給休暇を取得させなければなりません。

以上のように年次有給休暇は労働者の「権利」であって、「権利行使」をするか否かは労働者個人に委ねられているはずです。つまり、極端な話ですが労働者本人が「年次有給休暇は不要。今の休日で十分。」であれば「権利行使」する必要は無いわけです。

そこに法律で年次有給休暇の消化を義務付けるというのは、「年次有給休暇を取らずに働きたい」という労働者の「権利行使」をするか否かの自由を侵害していることにならないでしょうか。
(これは「権利と義務」の話であって「年次有給休暇は取りたくなければとらなくていい」という乱暴な話をしているわけではありませんので。念の為。)

今回の労働時間法制の見直しは「働き過ぎを防ぎ、働き方を変えることを促進する」というのが目的と思います。
年次有給休暇の取得(「消化」という言葉はどうも後ろ向きな表現ですね)促進は、総労働時間の減少には有益であり、同時並行で進めていく必要がありますが、権利を強制してまで実践すべきことかどうかは少々疑問です。

政府から法律により「枠」を絞られても、事業所側は「働き方」を変えなければ、「火元を消さずに煙だけ処理している」のと同じです。いずれは新しい「枠」によって出費を強いられることになります。[バッド(下向き矢印)]

「労働時間管理大変革」元年、「働き方変革」元年と申し上げているのは上記の理由からです。
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