戦略的労務管理のすすめ7 [品川トピックス]

さて、人を雇う「採用」の話に戻ります。

以前のブログでもお話ししましたが、適性に問題がある求職者は自筆の履歴書による書類選考である程度選別は可能です。

その後、面接を行うのですが面接で適性を見極めるのは、非常に困難です。面接で「この人は大丈夫!」と思っても、実際に入社後に「期待していた最低限の能力や成果を発揮できない」「同僚とのコミュニケーションが全くできない」といったことを露呈し、「採用は拙速だった。当社の従業員として不適格だ。」と後悔することが良くあります。

その従業員が自ら「この会社には自分は不適格だ」と思って、身を引いていただければ良いのですが、案外、そういう方に限って自覚がなく在職し続けることが多いようです。

さて、こういった事態に陥らないために、新規に採用した方を見極める期間として「試用期間」を設けている事業所がほとんどたと思います。

しかし、この「試用期間」を正しく理解していない事業所が多いのも事実です。

「試用期間」を設定して採用した人を「試雇用」と言いますが、「試雇用」とはいえ、立派な雇用契約になります。(法律の難しい言い方で「解約権留保付雇用契約」といいます。)

この「試雇用」、読んで字のごとく「本採用までのお試し期間」と理解し、試用期間中に「不適格」と判断した場合、簡単に解雇できると思われている事業所が結構、多いようです。

前述のとおり「試雇用」とはいえ立派な雇用契約ですから、解雇となるとそれ相応の理由が必要となります。

「じゃあ、なんで『試雇用』があるの?不適格な『試雇用』者の本採用を回避できないのであれば、意味がないではないか」とお叱りの声が聞こえそうですが、「試雇用」は「解約権留保付雇用契約」ということを正しく理解して、うまく使うことで不適格な方の本採用を回避することが可能です。

それでは次回にそのポイントについてお話ししたいと思います。
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戦略的労務管理のすすめ6 [品川トピックス]

採用に関することで、少し脱線します。

国が雇用政策として支給される各種の「助成金」があります。

人を採用する 、もしくは採用した半年後等に支給される事が多く、「採用」に密接に関係しています。

さて、この助成金を受給したいという理由で欠員補充や採用計画から逸脱した「採用」を行う事業所の話を仄聞することがあります。

制度に則っていれば、それ自体は法律違反ではないのですが 、無理な採用が生じますので、受給前に採用した従業員がやめてしまったりするなど、事業所、従業員双方にとってよい結果にならない事が多いようです。

欠員補充や採用計画に基づいた採用が発生したときに、該当する助成金があれば請求するというのが、本来あるべき姿です。

更に積極的に考えれば、その事業所が構築した採用計画や人材教育、正社員転換プログラムに連動した形で助成金を活用するプランを立てるべきでしょう。

すなわち、これも戦略的労務管理の一つなのです。

戦略的労務管理のすすめ5 [品川トピックス]

採用計画を組み立てるにあたって重要になるのが「現状分析」

現状、在籍してる従業員の「年齢」「勤続年数」「役職」「職務、職種」などのデータを整理します。こられのデータをもとに「現状分析」を行うわけですが、それによって「この年齢層が少ない、多い」「この職種が事業内容から考えて過剰、あるいは少ない」等の実情が見えてくると思います。

また、現状のみならず少なくとも今後の10年を見据えて、1年後ごとのデータの変化を予測することが必要です。その予測にあたっては「退職が何名発生し、入社者が何名か」といったこれまでの傾向力導き出せるものや、「60歳定年を迎えるものが何名おり、再雇用を希望する者がこの内何名いるか」といった会社の制度上、予測されるものを加味しておかなければなりません。
併せて、賃金制度や退職金制度による各年での人件費も予測可能となります、事業所の事業内容からの収益予測によっては、人件費率が収益にどれほどの影響を与えるかも予測できます。

これら将来の予測は当然、将来への対策につなげる必要がありますね。

将来への対策は採用計画に反映されますし、場合によっては人事制度の見直しも必要となります。

つまり、戦略をどんどん組み立てることができるということになります。


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戦略的労務管理のすすめ4 [品川トピックス]

「採用」の範疇には入らないかもしれませんが、予測のつかない急な退職による欠員補充って結構大変なんです。

このような事態を見越して、多めの人材を採用していれば良いのですが、このご時世、そんなことができる事業所はわずかです。

代わりの人を探すために半年を要したというのはよくある話。規模の小さな事業所だと結構、この間の影響って大きくなります。(もちろん、大きな損失になります。)


では、その対応策は?っていうことになりますが、従業員次第でもありますので正直申し上げて100%の有効な手立てはありません。

可能な限り、このような事態を抑制するということになりますが、具体的には
①就業規則上の退職のルールにおいて「急な退職」を排除する。
②「急な退職」は会社や同僚に大きな負担となるので、退職については早めに会社に相談することを啓蒙する。
③従業員の動向に注意を払い、同僚からの情報(転職をほのめかしている、辞めたいといっていたなど)には個別に本人と面談して真意を確かめる。
等が上げられます。

昨今の気質からか、後さき考えず些細なことで急に退職する方が増えていますので、「この人は大丈夫」とタカをくくるのではなく、全ての従業員の動向に注意を払う必要がありますね。


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戦略的労務管理のすすめ3 [品川トピックス]

従業員を雇うということは、大別すると「採用」と採用した後の「管理」の2つ仕事が発生します。

「採用」は会社に新たに従業員が必要になった時に必要となりますよね。

従業員が必要になるときは、
①退職により欠員が生じたとき
②出店や新規事業の立ち上げのため、そのための要員が生じたとき
といったあたりでしょうか。

では、戦略的に「採用」を考えるというのはどういう事でしょうか?

例えば、会社の現在の年齢別の労務構成を検証し、10年後に管理職に充てる人材が不足していると予測し、養成期間も考慮して今、どの年代の人材を何名採用しておく必要があると判断することです。

少々、簡単な一例ですが、「採用」は結構、思い通りにできないものです。

だから戦略が必要になるのです。




戦略的労務管理のすすめ2 [品川トピックス]

企業を経営するには戦略が必要ですよね。

マイケル・ポーターじゃあないですが「戦略的経営」って、言葉が示す通り戦略がないとライバルには勝てません。

例えば、自社の商品を企画販売するときに、細かな計画って考えますよね。

では、大切な経営資源である「ヒト」を機能させるときはどうでしょう?

ある程度は考えていますが、「モノ(商品・サービスなど)」「カネ(資金・融資)」と比べてどうでしょうか。

実はこの「ヒト」にも「モノ」と「カネ」以上の戦略が必要なんです。

そしてね、大企業だけじゃなくて、中小企業にも「ヒト」に対して戦略ってのが必要だと思うのです。(ここ近年になって痛感しています。)

戦略を立てて労務管理している中小企業さんって、結構ありますよ。伸びているところもあれば、伸びるまではいかなくとも安定しているところ、様々です。


じゃあ、そろそろ次回からその戦略の中身に入りますね。

戦略的労務管理のすすめ [品川トピックス]

会社を動かすものは「ヒト」「モノ」「カネ」と言われています。

我々、社会保険労務士はこの「ヒト」の部分を専門に会社を経営する人のお手伝いをしております。

この仕事を10年以上やらせていただいていますが、改めて「ヒト」の事は「本当に難しいなあ」と感じています。

有名、無名にかかわらず優良企業の経営者とお付き合いさせていただいておりますが、彼らは真剣に「ヒト」と向き合い、大切に感じ、悩んでいます。そして、「ヒト」に対して厳しい。

助言すべき我々専門家が逆に教えてもらうことが多いようです。

前述のとおり、社会保険労務士として10年を経過しました。これまでに優れた経営者の方とのお付き合いで学んだ「ヒト」の管理(この言葉も上から目線ですが・・・)について、思いつくまま少しずつ書き込んでいきたいと思います。

ええ、2年程さぼっちゃてましたらか、反省しながら少しずつです。

「戦略的労務管理のすすめ」

何故、「戦略的」かって?   それは次号で。
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