「労務紛争の解決において、会社側の完全勝利は可能でしょうか?」という質問をいただきます。 [労務管理]

先日、就業規則を作成した食品関係の事業所で労務トラブルが発生しました。

業務命令を度々、無視し再三注意・指導しましたが改まる兆しがなく「解雇できるものなら解雇してみろ」といった態度だったので社長も致し方なく解雇しました。

案の定、外部の労働組合に救済を求め、労組側から解雇撤回を要求されました。

会社は服務規律に違反するこれまでの行為を時系列に証拠立てて説明し、また何度が注意と指導をしたことも説明しました。そして、解雇についても就業規則の解雇規程に基づくものと主張したところ、労組側が自主退職する代わりに解決金の支払いを条件とする和解案を提示してきました。

最終的には解決金の水準の話し合いでしたが、最終的に決着がつきました。

我々専門家としては極めて常識的な金額での決着でしたが、事業主としては解雇は正当性があるもののと認識されており、解決金を支払うことに最後まで抵抗されていました。

その際、「社労士さんに作ってもらった最新の就業規則に基づいて、我慢しながら最終的に正当性があると思って解雇したのに何故、解決金を支払う必要があるのか。就業規則なんて意味がないのか」と疑問を投げかけられました。

正直、つらい気持ちになりましたが労務紛争において会社側が完全勝利することは極めて困難と申し上げます。もちろん、今回のケースは最高裁まで争って勝利する可能性はあったかもしれません。しかし、裁判にかかる時間と費用を考えると判決は完全勝利でも全体としては失うものが多かったかもしれません。

そう考えると、今回のケースは完全勝利に近い結果ではなかったかと思います。

我々が目指すのは就業規則などの労務管理の整備を行うことで、「100:0」の不利さから「20:80」あるいは「10:90」の有利な状態になるようにすることです。

もちろん、顧問先にご満足頂くことが大切なことですので、今後も精進していかなければなりませんが紛争解決の話し合いには「お互いの譲歩」が不可欠ですので、なにとぞご理解いただきますようお願いいたします。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:仕事

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。