会社は業務委託をしているつもりでも、実は「偽装請負」状態であり、個人請負主が労働者とみなされる場合が結構あります。 [労務管理]

「会社に拘束されず仕事をもっと自由に、そしてダイナミックにしてほしい。そして、収入も増やして欲しい。」

そんな思いで、経営者と労働者が合意でこれまでの雇用契約を解消し、業務委託契約に変更する場合があります。

これ自体は労働者から個人事業主へ働き方が変わるだけで、何ら問題はありません。

しかし、形だけを「業務委託」としても、実態として働き方が労働者の時と同じような状態であれば、その人は個人事業主とは言えず、「労働者」となります。

そのような働き方であっても、本人に不満が無ければ問題は顕在化しませんが、「業務委託費の支払い滞納」「前職である注文主からの突然の契約解除」などを機に、一挙に問題が顕在化することが最近多いようです。

これら個人事業主が「自分たちは労働者だった」と主張し、労働基準監督署に「賃金不払い」「予告・予告手当のない即日解雇」を申告すれば、業務委託契約書を盾に注文主が彼らの労働者性を否定しても、実態として労働者性が認められれば金銭の支払いなどを命じられることになります。

すなわち「請負」なのか、結果として「偽装請負」なのかは業務委託契約書があるとか、契約書の中身に瑕疵があるとか無いとかの話ではなく、実態として個人事業主とされる方の労働者性が確認されるか否かによることになります。

労働者性の判断基準については、昭和60年の旧労働省、労働基準法研究会による、いわゆる「昭和60年報告」に示されていますが、これについても「普遍的な判断基準を明示することは、必ずしも容易ではない」とし「次のように考えるべきだろう」と「考え方を示すもの」と前置きしています。

したがって、労働者性の判断はケースバイケースとなり、最終判断は裁判での判決に至らなければ得ることができないと考えるべきです。

経験で申し上げると、会社側の都合で本来雇用契約であるべきものを業務委託にした場合は、裁判で争うと圧倒的に不利です。

くれぐれも上記のような業務委託契約を締結する場合は、「偽装請負」と背中合わせの危険があると意識しておいてください。(というか、止めた方がいいですよ)
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